AI Promotion Act — Article-by-Article Commentary

AI推進法 全28条
逐条解説と企業対応マップ

人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律令和7年法律第53号)は、日本初のAI基本法です。 罰則のない「推進法」ですが、第7条は生成AIを業務利用するだけの企業も「活用事業者」に含めて協力義務を課し、第13条はAI事業者ガイドラインに法律上の位置づけを与えました。 全28条をe-Govの条文全文つきで解説し、企業が取るべき対応に翻訳します。

2026-07-09 更新2025年9月1日全面施行条文出典: e-Gov法令検索(参照日 2026年7月9日

Summary

30秒でわかる要点

  • AI推進法は罰則のない「推進法・理念法」。EUのAI法(規制法)とは性格が正反対で、日本はソフトロー+自主的取組を選択した。
  • 第7条の「活用事業者」は、AIを開発する企業だけでなく、生成AIを業務利用するだけの企業も含む広い定義。国の施策への協力は「協力しなければならない」という義務の文体で書かれている。
  • 第13条が「国際的な規範の趣旨に即した指針の整備」を法定し、AI事業者ガイドラインに法律上の位置づけを与えた。企業の実務対応はガイドライン第1.2版を参照する二層構造。
  • 第16条により、権利侵害事案は国が分析し事業者へ指導・助言を行う。罰則がない=問題を起こしても何も起きない、ではない。
  • 施行状況: 2025年5月28日成立 → 2025年6月4日公布・一部施行 → 2025年9月1日全面施行。2025年12月23日 AI基本計画 閣議決定。

Chapter 1

法律の性格と全体構造

本則は4章28条のコンパクトな法律です。第1章が理念と責務、第2章が国の施策メニュー、 第3章・第4章が推進体制(基本計画と戦略本部)という構成で、 事業者への直接の規制条項はありません。企業が読むべき優先順位は第7条 → 第13条 → 第16条 → 第2条・第3条の順です。

内容
第1章 総則第1条〜第10条法律の目的・定義・基本理念と、国・自治体・研究機関・事業者・国民それぞれの責務を定める章。企業に直接関係するのは第2条(定義)・第3条(基本理念)・第7条(活用事業者の責務)。
第2章 基本的施策第11条〜第17条国が講ずる施策のメニュー。研究開発推進、計算資源・データセットの整備、適正性の確保(=ガイドライン整備の根拠)、人材、教育、調査研究(=事案分析と指導・助言)、国際協力の7本柱。
第3章 人工知能基本計画第18条政府に「AI基本計画」の策定を義務づける章。2025年12月23日に初の計画が閣議決定された。
第4章 人工知能戦略本部第19条〜第28条内閣に置くAI戦略本部(本部長=内閣総理大臣、本部員=全国務大臣)の組織規定。2025年9月1日の全面施行で設置され、9月12日に初会合。

Articles — 第1条〜第10条

逐条解説 — 第1章 総則

第1条目的

この法律の主語は一貫して「国」です。目的は規制ではなく「研究開発と活用の推進」。EUのAI法(罰則つきの規制法)とは性格がまったく異なる推進法・理念法であることが、第1条から読み取れます。

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この法律は、人工知能関連技術が我が国の経済社会の発展の基盤となる技術であることに鑑み、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策について、基本理念並びに人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する基本的な計画の策定その他の施策の基本となる事項を定めるとともに、人工知能戦略本部を設置することにより、科学技術・イノベーション基本法(平成七年法律第百三十号)及びデジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)その他の関係法律による施策と相まって、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第2条定義

企業実務で重要

定義は技術中立で広く、生成AIに限定されていません。機械学習・LLM・エージェントはもちろん、ルールベースの推論システムも「人間の認知・推論・判断を代替する機能」であれば射程に入り得ます。自社の利用が「AI関連技術の活用」に当たるかを狭く解釈しないのが安全です。

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この法律において、「人工知能関連技術」とは、人工的な方法により人間の認知、推論及び判断に係る知的な能力を代替する機能を実現するために必要な技術並びに入力された情報を当該技術を利用して処理し、その結果を出力する機能を実現するための情報処理システムに関する技術をいう。

第3条基本理念

企業実務で重要

第4項が重要です。犯罪利用・個人情報漏えい・著作権侵害を例示し、「過程の透明性の確保」を求めています。企業のAI利用ルールが「透明性・記録」を欠くと、この基本理念との距離が開きます。AI事業者ガイドラインの透明性・アカウンタビリティ原則の法律側の根っこがここです。

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人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進は、科学技術・イノベーション基本法第三条に定める科学技術・イノベーション創出の振興に関する方針及びデジタル社会形成基本法第二章に定める基本理念のほか、この条に定める基本理念に基づいて行うものとする。

2 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進は、人工知能関連技術が、その適正かつ効果的な活用によって行政事務及び民間の事業活動の著しい効率化及び高度化並びに新産業の創出をもたらすものとして経済社会の発展の基盤となる技術であるとともに、安全保障の観点からも重要な技術であることに鑑み、我が国において人工知能関連技術の研究開発を行う能力を保持するとともに、人工知能関連技術に関する産業の国際競争力を向上させることを旨として、行うものとする。

3 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進は、人工知能関連技術の基礎研究から国民生活及び経済活動における活用に至るまでの各段階の関係者による取組が相互に密接な関連を有することに鑑み、これらの取組を総合的かつ計画的に推進することを旨として、行うものとする。

4 人工知能関連技術の研究開発及び活用は、不正な目的又は不適切な方法で行われた場合には、犯罪への利用、個人情報の漏えい、著作権の侵害その他の国民生活の平穏及び国民の権利利益が害される事態を助長するおそれがあることに鑑み、その適正な実施を図るため、人工知能関連技術の研究開発及び活用の過程の透明性の確保その他の必要な施策が講じられなければならない。

5 人工知能関連技術の研究開発及び活用は、我が国及び国際社会の平和と発展に寄与するものとなるよう、国際的協調の下に推進することを旨とし、我が国が人工知能関連技術の研究開発及び活用に関する国際協力において主導的な役割を果たすよう努めるものとする。

第4条国の責務

国自身が行政でAIを積極活用すると宣言しています。官公庁向けビジネスでは、発注側がAI活用を前提にし始める根拠条文です。

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国は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 国は、行政事務の効率化及び高度化を図るため、国の行政機関における人工知能関連技術の積極的な活用を進めるものとする。

第5条地方公共団体の責務

自治体にも施策の策定・実施責務があります。自治体のAI調達・実証事業が増える法的背景です。

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地方公共団体は、基本理念にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

第6条研究開発機関の責務等

大学・研究開発法人向けの努力義務です。一般企業には直接適用されませんが、産学連携でAI開発を行う場合の相手方の位置づけを理解するのに役立ちます。

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大学、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第二条第九項に規定する研究開発法人その他の人工知能関連技術の研究開発を行う機関(以下「研究開発機関」という。)は、基本理念にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及びその成果の普及並びに専門的かつ幅広い知識を有する人材の育成に積極的に努めるとともに、第四条の規定に基づき国が実施する施策及び前条の規定に基づき地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

2 国及び地方公共団体は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策で大学に係るものを策定し、及び実施するに当たっては、大学における研究活動の活性化を図るよう努めるとともに、研究者の自主性の尊重その他の大学における研究の特性に配慮しなければならない。

3 研究開発機関は、人工知能関連技術の研究開発を効果的に進めるに当たっては、人文科学及び自然科学に関する多様な分野の知見を総合的に活用することが必要であることに鑑み、学際的又は総合的な研究開発に努めるものとする。

第7条活用事業者の責務

企業実務で重要

企業にとって本法の最重要条文です。「活用事業者」の定義は広く、AIを開発・提供する企業だけでなく「事業活動において活用しようとする者」——つまりChatGPT等を業務利用するだけの企業も含まれます。国・自治体の施策への協力は「努めるものとする」ではなく「協力しなければならない」と義務の文体で書かれています(ただし罰則はありません)。国の施策の中心はAI事業者ガイドラインなので、実務上は「ガイドラインに沿った自主的な取組」がこの協力義務への対応になります。

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人工知能関連技術を活用した製品又はサービスの開発又は提供をしようとする者その他の人工知能関連技術を事業活動において活用しようとする者(以下「活用事業者」という。)は、基本理念にのっとり、自ら積極的な人工知能関連技術の活用により事業活動の効率化及び高度化並びに新産業の創出に努めるとともに、第四条の規定に基づき国が実施する施策及び第五条の規定に基づき地方公共団体が実施する施策に協力しなければならない。

第8条国民の責務

国民一般には努力義務(努めるものとする)です。第7条の事業者(協力しなければならない)との文体の差は意図的で、事業者により強い協力が期待されています。

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国民は、基本理念にのっとり、人工知能関連技術に対する理解と関心を深めるとともに、第四条の規定に基づき国が実施する施策及び第五条の規定に基づき地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

第9条連携の強化

産学官連携の推進規定です。補助金・実証事業の枠組みが設計される根拠になります。

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国は、国、地方公共団体、研究開発機関及び活用事業者が相互に連携を図りながら協力することにより人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進が図られることに鑑み、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。

第10条法制上の措置等

将来の追加立法・予算措置の根拠条文です。「AI推進法は第一歩で、必要になれば規制を含む次の立法があり得る」ことを示唆します。

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国は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

Articles — 第11条〜第17条

逐条解説 — 第2章 基本的施策

第11条研究開発の推進等

基礎研究から実用化まで一貫支援する方針です。

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国は、人工知能関連技術の基礎研究から実用化のための研究開発に至るまでの一貫した研究開発の推進、研究開発機関における研究開発の成果の移転のための体制の整備、研究開発の成果に係る情報の提供その他の施策を講ずるものとする。

第12条施設及び設備等の整備及び共用の促進

GPU等の計算資源とデータセットを「活用事業者が広く利用できるようにする」と明記しています。国産計算基盤・公開データセット整備の根拠で、中小企業にも恩恵が届き得る条文です。

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国は、人工知能関連技術の研究開発及び活用に当たって必要となる大規模な情報処理、情報通信、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の保管等に係る施設及び設備並びにデータセット(特定の目的をもって収集した情報の集合物をいう。)その他の知的基盤(科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第二十四条の四に規定する知的基盤をいう。以下この条において同じ。)を研究開発機関及び活用事業者が広く利用できるようにするため、これらの施設及び設備並びに知的基盤の整備及び共用の促進のために必要な施策を講ずるものとする。

第13条適正性の確保

企業実務で重要

わずか1文ですが、企業実務への影響が最も大きい条文のひとつです。「国際的な規範の趣旨に即した指針の整備」——これがAI事業者ガイドラインの法律上の位置づけを与える条文です。ガイドライン自体はソフトローのままですが、この条文により「法律に基づいて国が整備する指針」という性格を持ちます。取引先审査や調達要件でガイドライン準拠が参照される流れは、この条文で加速しました。

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国は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正な実施を図るため、国際的な規範の趣旨に即した指針の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。

第14条人材の確保等

AI人材の確保・育成施策の根拠です。リスキリング関連の補助・支援策はここに紐づきます。

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国は、地方公共団体、研究開発機関及び活用事業者と緊密な連携協力を図りながら、人工知能関連技術の基礎研究から国民生活及び経済活動における活用に至るまでの各段階において必要となる専門的かつ幅広い知識を有する多様な分野の人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。

第15条教育の振興等

AIリテラシー教育の推進規定です。社内研修の整備は、ガイドラインの教育・リテラシー原則とこの条文の両方に沿う取組になります。

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国は、国民が広く人工知能関連技術に対する理解と関心を深めるよう、人工知能関連技術に関する教育及び学習の振興、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

第16条調査研究等

企業実務で重要

罰則のないこの法律で、実質的な「執行」に最も近い条文です。国民の権利利益の侵害事案を国が分析し、事業者に対して「指導、助言、情報の提供その他の必要な措置」を講ずる——つまり問題を起こした企業への行政指導や、事案の公表(レピュテーションリスク)の根拠になり得ます。「罰則がないから何も起きない」ではありません。

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国は、国内外の人工知能関連技術の研究開発及び活用の動向に関する情報の収集、不正な目的又は不適切な方法による人工知能関連技術の研究開発又は活用に伴って国民の権利利益の侵害が生じた事案の分析及びそれに基づく対策の検討その他の人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に資する調査及び研究を行い、その結果に基づいて、研究開発機関、活用事業者その他の者に対する指導、助言、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

第17条国際協力

広島AIプロセス等の国際規範づくりへの参画を法定したものです。第13条の「国際的な規範の趣旨に即した指針」とセットで読むと、日本のガイドラインが国際規範と連動して更新され続けることがわかります。

条文全文を読む

国は、人工知能関連技術の研究開発及び活用に関する国際協力を推進するとともに、国際的な規範の策定に積極的に参画するものとする。

Articles — 第18条

逐条解説 — 第3章 人工知能基本計画

第18条人工知能基本計画

企業実務で重要

この条文に基づく初の「AI基本計画」が2025年12月23日に閣議決定されました。政府のAI政策(補助金・調達・ガイドライン更新)は今後この計画に沿って動くため、企業の中期的なAI投資判断の参照文書になります。

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政府は、基本理念にのっとり、前章に定める基本的施策を踏まえ、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する基本的な計画(以下「人工知能基本計画」という。)を定めるものとする。

2 人工知能基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策についての基本的な方針 二 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 三 前二号に掲げるもののほか、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を政府が総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 内閣総理大臣は、人工知能戦略本部の作成した人工知能基本計画の案について閣議の決定を求めるものとする。

4 内閣総理大臣は、前項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、人工知能基本計画を公表するものとする。

5 前二項の規定は、人工知能基本計画の変更について準用する。

Articles — 第19条〜第28条

逐条解説 — 第4章 人工知能戦略本部

第19条設置

AI政策の司令塔を内閣に常設する規定です。

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人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、人工知能戦略本部(以下「本部」という。)を置く。

第20条所掌事務

基本計画の作成・推進と、省庁横断の総合調整が任務です。

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本部は、次に掲げる事務をつかさどる。 一 人工知能基本計画の案の作成及び実施の推進に関すること。 二 前号に掲げるもののほか、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関すること。

第21条組織

組織の3層構造を定めます。

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本部は、人工知能戦略本部長、人工知能戦略副本部長及び人工知能戦略本部員をもって組織する。

第22条人工知能戦略本部長

本部長は内閣総理大臣。AI政策が首相直轄であることを示します。

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本部の長は、人工知能戦略本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。

2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。

第23条人工知能戦略副本部長

官房長官とAI戦略担当大臣が副本部長です。

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本部に、人工知能戦略副本部長(次項及び次条第二項において「副本部長」という。)を置き、内閣官房長官及び人工知能戦略担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、人工知能関連技術の研究開発及び活用の総合的かつ計画的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣をいう。)をもって充てる。

2 副本部長は、本部長の職務を助ける。

第24条人工知能戦略本部員

全大臣が本部員=全省庁がAI政策の当事者になる構造です。

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本部に、人工知能戦略本部員(次項において「本部員」という。)を置く。

2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。

第25条資料の提出その他の協力

企業実務で重要

第2項に注意。「前項に規定する者以外の者」=民間企業にも協力を依頼できます。法的強制力のある調査権ではありませんが、重大事案の際に本部から民間へ説明を求める根拠になり得ます。

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本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第一項第八号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。

2 本部は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

第26条事務

事務局は内閣府です。AI政策の一次情報は内閣府のページに集約されます。

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本部に関する事務は、内閣府において処理する。

第27条主任の大臣

行政法上の形式規定です。

条文全文を読む

本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

第28条政令への委任

細目は政令に委任されます。本則はこの28条で終わりです。

条文全文を読む

この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。

Chapter 6

企業対応マップ — 条文から実務アクションへ

AI推進法そのものに、企業がやるべき手続きは書かれていません。 実務対応の実体は、第13条に基づいて国が整備するAI事業者ガイドライン(第1.2版)への取組です。 条文と実務の対応関係を整理します。

条文法律が定めること企業のアクション使えるリソース
第7条(活用事業者の責務)国・自治体の施策への協力義務(罰則なし)。実務上は国の施策の中心であるAI事業者ガイドラインに沿った自主的取組が対応の実体自社のAI利用実態を棚卸しし、ガイドライン1.2への対応度を確認するAIガバナンス・レディネス診断(無料・3分)
第3条4項(透明性の確保)研究開発・活用の「過程の透明性の確保」が基本理念として法定誰がいつ何にAIを使ったかの記録・ログ体制を整備する実装ハンドブック(透明性・記録の章)
第13条(適正性の確保)国際規範に即した指針=AI事業者ガイドラインの整備が法定化公式チェックリスト・ワークシート(別添7)で検討の証跡を作る別添7の書き方と記入例
第16条(調査研究等)権利侵害事案を国が分析し、事業者へ指導・助言・情報提供。事案化した場合のレピュテーションリスクAI利用ポリシーを文書化し、インシデント時に説明できる状態を作るAI利用ポリシー・ジェネレーター(無料)
第18条(AI基本計画)政府のAI施策は基本計画(2025年12月閣議決定)に沿って展開補助金・調達要件・ガイドライン改訂の動向を定期的に確認する内閣府 AI戦略ページ(一次ソース)

Chapter 7

よくある質問

Q. AI推進法に違反すると罰則はありますか?

A. ありません。AI推進法は罰則規定を持たない推進法・理念法です。ただし第16条に基づき、国民の権利利益の侵害が生じた事案は国が分析し、事業者への指導・助言・情報の提供その他の必要な措置を講ずるとされています。罰則がないことと、問題を起こしても何も起きないことは別です。

Q. 中小企業やAIを利用するだけの企業にも関係がありますか?

A. あります。第7条の「活用事業者」は、AIを開発・提供する企業に限らず「人工知能関連技術を事業活動において活用しようとする者」と定義されており、ChatGPTなどの生成AIを業務利用するだけの企業も含まれます。求められるのは国の施策(実務上はAI事業者ガイドライン)への協力です。

Q. AI推進法とAI事業者ガイドラインはどういう関係ですか?

A. AI推進法第13条が「国際的な規範の趣旨に即した指針の整備」を国の施策として定めており、AI事業者ガイドラインがこの指針に当たります。法律が「指針を整備せよ」という枠組みを作り、ガイドラインが具体的な行動目標を示す二層構造です。企業の実務対応はガイドライン側(第1.2版)を参照することになります。

Q. EUのAI法(AI Act)とは何が違いますか?

A. 性格が正反対に近い法律です。EUのAI法はリスク区分に応じた義務と高額の制裁金を定める規制法ですが、日本のAI推進法は罰則を持たず、研究開発と活用の「推進」を目的とする基本法です。日本は法規制ではなくソフトロー(ガイドライン)と事業者の自主的取組を中心に据えるアプローチを選択しています。EU域内で事業を行う場合はEU AI法への対応が別途必要です。

Q. いつから施行されていますか?

A. 2025年5月28日に成立、6月4日に公布され、総則・基本的施策などは公布日に施行されました。AI戦略本部・AI基本計画に関する第3章・第4章を含む全面施行は2025年9月1日です。この条文に基づく初のAI基本計画が2025年12月23日に閣議決定されています。

あわせて読む・使う

一次ソース(出典)

  • 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(令和7年法律第53号)条文全文 — e-Gov法令検索
  • AI推進法・AI基本計画の解説 — 内閣府 AI戦略ページ
  • 参照日: 2026年7月9日(法改正・基本計画の変更に追随して更新します)

本ページの条文はe-Gov法令検索から取得した正文を、項番号を付して掲載したものです(法令は著作権の目的となりません)。 解説部分はtokimoaによる実務目線の注釈であり、法的助言ではありません。 個別の法令適合性については弁護士等の専門家にご相談ください。

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